S社の社長「今までの約5年間。我社のために尽力していただきありがとう。」
M社の社長「この転籍は皆さんがいらしたときから決まっていました。騙してしまった様ですみません。」
こんな感じで私は今までに会社が変わる転籍を2回させられました。
転籍を2回もさせられることなどあまりないのではないでしょうか…といいつつ、一緒に当時転籍させられた同僚は3回目でした。
転籍とは、現在の労働契約関係を解消させて新しく別の会社と労働契約を結び直すことを指しています。
「それって転職じゃないの?」
といわれそうですが、職が変わるわけではないので転職ではありません。
私自身、この転籍のおかげで人生が狂わされてしまいました。
そのお話をしていこうと思います。
会社から転籍をいわれてしまったあなた…もしくは転職を考えているあなたはぜひとも読んで下さい。
参考になること間違いなしです。
目次
転籍して別会社へ行けといわれたあの日
現在の妻とはお恥ずかしながら出来ちゃった結婚だったのですが、その当時の私は契約社員という非正規雇用でした。
妻と子供がいるにも関わらずに非正規雇用…両親の助けも借りながら3年ほど生活をしたときに全国の某小売店へ雑貨商品を卸しているベンダー会社へ転職が成功!
年間売り上げ約700億円の大会社へ転職できたのです。
妻も両親も喜んでくれ、その会社での仕事は辛く大変でしたがやりがいはありました。
「ずっと定年までこの会社で働いていくんだろうな。」
そんな風に考えながら約3年近く働きました。
そうはいっても正直ブラック企業。
- 残業代はみなし残業代以上支払われない
- 物凄く体育会系
- 定期昇給は役員も従業員も一律1500円のみ
- 土曜日は夜中の22時くらいまでは仕事
こんな具合にブラック企業でした。
3年目に突入しようとしていた矢先に、筆頭株主の会社が変わりました。
元々の筆頭株主企業が株主から撤退するということで、別の会社が株式を買い取り筆頭株主になったのです。
そのおかげもあり、残業代もしっかりと支払われるようになりました。
「良かった~!このまま良い会社になっていってくれれば…。」
それからしばらくして私の働いている地域からの物流事業からの撤退が発表。
同じ建屋の別会社へ転籍しないかと役員から打診されました。
役員「〇〇君のことをあちらの会社は凄く評価しているよ。ぜひ転籍してみてはどうかな?」
転籍をしなかった場合は県外の事業所へ転勤になるそうだったのですが、私自身は地元でもありましたし何より転籍してほしいという圧力がすごかったため転籍しました。
会社が良くなっていく矢先の転籍だったので、感傷的な気持ちになったのを覚えています。
転籍が自分都合ではなく会社都合で再び発生
約3年間働いた年商700億円の企業から転籍した先の企業は、私の地元でも比較的有名なベンダー企業でした。
ボーナスは、年間3ヵ月分支給から2ヵ月分へと減ってしまいましたが、それでも毎月の給料はそのままに転籍。
残業代もしっかりと満額支給されるようになったので安心しました。
地元でも比較的有名でしたので、私自身は転籍して良かったなと思っていたのですが、転籍して2カ月後…
テレビニュース「〇〇株式会社が地元のライバル企業の100%子会社になることを本日発表致しました。」
地元を揺るがすニュースが飛び込んできたのです。
その日の終礼にも上長から発表があり、後日、社長と役員一同から説明があるといわれその日は帰宅。
数日後に、転籍組の私達だけの説明会がセッティングされスタート。
説明会の冒頭に社長から…
社長「皆さんを騙してしまって本当に申し訳ございません。転籍していただく前からこの買収の話は決まっていたのです。」
この手の話は相当な趣味義務があるらしく、身内の人などにも知れ渡っていないそうです。
社長とごく一部の役員のみが知る話だそうです。
社長から新しく事業を引き継いでくれる会社の発表があり、再び転籍をしてくださいとの話をされました。
転籍先の企業情報をみさせられて愕然としてしまいましたよ。
なぜならば、物凄くブラック企業だったからです。
- 定期昇給はなし(役職が上がらなければ給料は上がらない)
- 残業代はみなし残業を越えなければ支払われない
- 全営業所の1ヵ月の平均労働時間は270時間
- 年間休日は約76日
どうでしょうか?
ブラック企業の臭いがプンプンしませんか?
説明会場は、物凄い質問の嵐になってしまいました。
自己都合で転籍するのではなく、強制的に会社都合で転籍させられることになってしまったのです。
転籍に同意しない場合は退職
説明かも一通り済み、質問も一通り済んだ頃を見計らって私もいくつか質問をしました。
- 転籍に同意しない場合はどうなるのか
- 他の部署への異動をして転籍しない術はあるのか
- 会社都合で転籍を促されているので退職する場合は会社都合なのか
とても気になりますよね?
転籍に同意しない場合は退職
私が転籍を拒否した場合は一体どうなるのかと質問しました。
社長からいわれた一言は…
社長「転籍に同意できない場合は、辞めていただくほかありません。」
ということでした。
私達は、紹介された転籍先のブラック企業で働くしか道は残されていないのだということなのです。
前に所属していた会社から転籍をしてきて2ヵ月。
あまりに酷い話でした。
他の部署への異動はなし
私自身、正直地元でも名の知れた企業でしたので転籍はしたくありませんでした。
転職口コミサイトでも評判の悪い企業。
さらにその評判の悪さは、転籍説明会で説明された内容とピッタリ。
県外への転勤をして役職を上げる以外に年収を上げる術はないときたら嫌です。
そこで転籍ではなく、現在の会社で他の部署に異動ということはできないのか質問をしたところ…
社長「申し訳ありませんが、皆さんには転籍以外に道は残されていません。」
という返事を頂きました。
業績が悪く同じ県外のライバル企業に買収されたわけです。
様々な事業を譲渡しなければいけない理由の1つに、従業員の転籍も含まれていたのです。
私の様に転籍してきていない新卒から20数年働いてきた従業員も、部署異動の選択肢はなく転籍一択のみでした。
転籍を拒否し退職を選択した場合は自己都合退職
ブラック企業への転籍一択のみでしたので、私の同僚がある質問をしたのです。
同僚「もし転籍ではなく退職を選んだときは会社都合退職になるんですよね?」
会社都合での転籍ですから当然退職も会社都合になるはずだ!
しかし、その答えは…
社長「…自己都合退職になります。」
同僚「え!?そちらから転籍してくれっていっているのにですか?」
私「会社からの強制的な他者への転籍ですから当然ですが退職した場合も会社都合でしょ!」
上司「私達は自分の意志で転籍するわけではないのですよ。おかしくないですか?」
社長「自己都合退職になります。」
転籍を促している会社側からすれば、次に働ける転籍先企業で働き続ければ職はあるということなのです。
会社側の都合でブラック企業への転籍になるわけですが、働き先を紹介し現在と同じ待遇で働けるの条件を拒否した場合は自己都合退職になるとのことなのです。
そもそも異動と転籍の違いとは?
私自身、会社都合での転籍を2回させられてきました。
最後に転籍した会社を退職し転職活動を開始し、採用された企業での面接時にいわれたことが…
「転籍?というよりも転職をさせられたということですよね?」
といわれたのですが、意外と転籍のことを知らない人も大勢います。
転職というのは、業界も業種も雇用される企業も変わることです。
しかし転籍というのは、行う仕事も勤務する職場も関わらずに雇用される企業が変わることになります。
「あ~。そういうことだったんですね!」
お分かりいただけましたでしょうか?
転職をするときというのは、あなたの現在の雇用環境をより良くしたいという理由で転職活動をすると思います。
ただし転籍は、自分の意志で行うものではないことが多い。
- 雇用内容
- 会社の環境
- 役員や上司
色々と心配になることもたくさんあります。
それでは、転籍のメリットとデメリットをお伝えしていきます。
転籍のメリット
転籍のメリットは、主に2つです。
- 新しい会社で心機一転
- 福利厚生が良くなることがある
この2つです。
私も2回転籍した経験があるので分かるのですが、仕事も出勤する職場も変化はなくても会社が変わるので心機一転できます。
新しい会社の他の部署の方や他の営業所の方と交流ができるのは楽しいものです。
そして福利厚生が良くなることもあります。
転籍が決まり、転籍先の会社の課長と事務所で話していたときに聞かれたことがあります。
課長「〇〇さんの今いる会社って、残業代が支給されないって噂なんですけど本当ですか?」
私「噂になってるんですね~。噂ではなくて事実です。」
転籍前の会社ではみなし残業代以上は支払われなかったのですが、新しい転籍先の会社では残業代は満額支払われるようになって嬉しかったのを覚えています。
この2つが主に転籍のメリットになります。
転籍のデメリット
それでは転籍のデメリットです。
転籍のデメリットもメリットと同じで2つあります。
- 新しい会社での変化
- 福利厚生の変化
この2つになります。
「なんかメリットのときと同じような気がするんですけど?」
実は、転籍のメリットとデメリットは表裏一体なんですね。
転籍というのは先程お伝えいたしましたが、仕事も勤務する職場の変化もなく雇用先企業が変わることです。
雇用される企業が変わるということは、それはとても大きな変化があるわけです。
- 転籍先の企業の上司達がとてもやる気が無く最悪だった
- 一緒に働くパートさん達の仲が悪すぎた
実は多くの場合、この様な悪い変化が転籍には付き物です。
他にも…
- ボーナスが半分になってしまった
- 定期昇給が無くなってしまった
- 年収を上げるには県外への転勤を2回から3回行い昇進するしかない
- 年間休日が110日から87日になってしまった
- 1ヵ月の残業時間が96時間になってしまった
この様に福利厚生の待遇がガクッと下がってしまうことも多々あります。
転籍先の企業が現在働いている企業よりも大手、もしくは利益率の高い企業ではない限り転籍してメリットを感じることはほぼないでしょう。
転籍というものは、メリットよりもデメリットを突き付けられることの方が多いのです。
なぜならば、会社側がある事業を手放し社員を転籍をさせるということは、現状の会社よりも業績の良くない企業が多いのです。
業績絶好調の事業であれば、絶対に会社は手放したりしませんから。
まとめ
ここまで私の実体験を交えながら転籍についてお伝えしてきました。
もしかしたらあなたも会社側から転籍を迫られている状態かもしれませんし、過去に転籍をさせられた経験もある方もいるかもしれません。
私自身、2回の転籍経験があります。
その2回の転籍経験で感じたことは…
「現状よりも良い会社への転籍というのは、ほぼほぼありえない。」
ということです。
会社の業績が悪いから雇用先企業が変わる転籍がほとんどです。
私も2回目に転籍させられたブラック企業では、何とか1年間は様子を見てみようと思い1年3ヵ月働きました。
結果としてブラック企業過ぎたので退職をし、新しい別の会社・別業界へ転職をしました。
もしあなたが会社側から転籍を迫られているのでしたら転職することも視野に入れた方がいいでしょう。
ただし、条件の良い会社への転籍も実際にはあります。
転籍先企業で働いてみてダメであれば転職をした方がいいですよ。
1979年生まれの就職氷河期世代の妻子持ち男のthelifeです。非正規雇用で数年間も働き続けた負け組であり、抜け出すために独立を考え行動するも挫折。それでも転職成功し現在はホワイト企業で働いています。年収240万円契約社員→大会社年商700億円へ転職成功→年商300億円医薬品ベンダー転職→大手商社系物流会社内定→残業の無いホワイト企業転職。実体験に基づく転職や人生の役立つ情報を提供しています。